デビュー秘話

デビュー・受賞

村上春樹:世界的作家を生んだヤクルト愛と名誉会員第2号

ノーベル文学賞候補としても語られる村上春樹さん。ジャズ喫茶「ピーター・キャット」を経営していた若き日に、なぜ突然小説を書き始めたのか——その陰に、東京ヤクルトスワローズの存在があります。

1978年4月、神宮球場の外野席でヤクルト対広島の開幕戦を観戦中だった村上さん。1回裏、デイブ・ヒルトン選手がレフトへ二塁打を放った瞬間、「そうだ、僕には小説が書けるかもしれない」という感覚が降りてきた、と本人が回想しています。

当時経営していた店が、昼は喫茶・夜はジャズバーの「ピーター・キャット」(Peter Cat)。試合後に原稿用紙などを揃え、店の営業を終えた深夜、自宅のキッチンテーブルで書き進めたのがデビュー作『風の歌を聴け』です。

長年のヤクルト愛は、2013年9月に球団公式ファンクラブ「Swallows CREW」の名誉会員第2号就任としても結実しました。第1号は出川哲朗さん、第3号はさだまさしさん、という顔ぶれでも話題になりました。

就任にあたり寄稿されたエッセイでは、十八歳で上京して以来の神宮通いを振り返りつつ、球場ならではの見方——見たい場所を自由に見られること、打球やグラウンドの本当の音、冷たい生ビール——といった観戦の魅力が語られています。世界的な作家でありながら、ホームの神宮でビールを片手に声を張るファンとしての一面が、親近感を覚えるエピソードです。

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