デビュー秘話
デビュー・受賞三浦しをん:就職試験の「落選」を作家デビューに変えた編集者の眼力
『舟を編む』や『まほろ駅前多田便利軒』など、働く人々の愛おしさや言葉の魅力を描く三浦しをんさん。実は最初から小説家一本ではなく、きっかけは就職活動でのつまずきでした。
早稲田大学第一文学部時代、大の本好きだった三浦さんは、本を作る側である出版社の編集者を志望して就活に励んでいたと語られています。
その過程で出会ったのが、当時・早川書房で採用対応にも携わっていた編集者の村上達朗氏です。採用には至らなかった一方、選考で提出された作文や観察眼の面白さに触れ、「編集者にするより、文章を書かせたほうがいい」と確信した——と、後年の記事でも繰り返し紹介されています。
不採用のあと、村上氏からエッセイや執筆を勧められた三浦さん。卒業後はアルバイト生活を送りながら原稿に向かい、2000年に書き下ろし長編『格闘する者に○(まる)』でデビューを果たしました。就活そのものを題材にしたデビュー作でもあります。
もし編集者として就職が決まっていたら、『まほろ駅前多田便利軒』や辞書作りに情熱を注ぐ人々を描いた『舟を編む』は、別の形になっていたかもしれません。「本を作る側」を目指して遠回した経験があるからこそ、働く人々や言葉を扱う現場への敬意が作品ににじむ——そう読むと、リアリティの輪郭が一段はっきりします。
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出典
公式・出版社系の公開情報を参考にしています。詳細は各リンク先でご確認ください。
リアルサウンド ブック — 村上達朗氏とボイルドエッグズに関する記事
https://realsound.jp/book/2024/10/post-1818832.html早川書房での就職希望者対応をきっかけに三浦しをんを発掘し、エッセイから小説へと導いた経緯が紹介されています。
東京新聞 — 名編集者の「置き土産」(社説)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/377381入社希望者の作文から文才を見抜き、「あなたは絶対に小説を書ける」と勧めたエピソードが記されています。
新潮社 — 『格闘する者に○』(新潮文庫)作品ページ
https://www.shinchosha.co.jp/book/116751/就職活動を題材にしたデビュー作。著者プロフィールでもデビュー経緯が確認できます。
新潮社 — 三浦しをん 著者プロフィール
https://www.shinchosha.co.jp/writer/28732000年『格闘する者に○』デビュー以降の経歴の確認用。
好書好日(朝日新聞) — 中江有里『格闘する者に〇』
https://book.asahi.com/article/15312749デビュー作への言及と読みどころの紹介。