映像化の裏側

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伊坂幸太郎×濱田岳:中村義洋監督の伊坂映画に“必ず”出る男

伊坂幸太郎作品の魅力は、伏線と人情が同時に走る文体にあります。それを劇場で届け続けたのが中村義洋監督のシリーズで、そこには欠かせない顔がありました。

中村監督は『アヒルと鴨のコインロッカー』『フィッシュストーリー』『ゴールデンスランバー』『ポテチ』と、伊坂原作を連続して映画化しました。「映像化不可能」とも言われた仕掛けの多い物語を、原作の温度を残したままパッケージする手腕で知られます。

その全作品に出演しているのが濱田岳さんです。シネマカフェのインタビュー(2010年)で中村監督は、『ゴールデンスランバー』の“黒いパーカーの男”について「伊坂さんはもともと“黒いパーカーの男”を太った男として考えていたらしんですけど、『アヒルと鴨…』を観て書き替えた。小柄でおでこが広くて…という濱田岳ふうにね」と明かしています。つまり原作の段階で、すでに濱田さんに当て書きされていたわけです。

濱田さん自身も同じ取材で、『アヒルと鴨のコインロッカー』の際に伊坂さんと対談し、「人がやりたがらないような役、たとえば殺人鬼とかやってみたいですね」と話していたことを振り返り、「伊坂さんが僕をイメージしてくれたというのは役者冥利に尽きます」と語っています。派手なヒーローではなく、隣にいそうな人物が事件に巻き込まれる——その手触りを画面で支えてきたのが、この連続出演です。

原作を読んでから映画を観る/映画から原作へ戻る、どちらの入口でも、「濱田岳がまた伊坂にいる」と気づくとシリーズのつながりが見えてきます。作家・監督・俳優の三角が作った、静かな常連感の豆知識です。

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