著名人の本棚

「役を生きるため、人間を学ぶため」名優・役所広司の本への向き合い方と原点作

『VIVANT』のノゴーン・ベキ役をはじめ、画面を支配する圧倒的な威厳と哀愁で世界を魅了する役所広司さん。 本人が語る読書のスタイルは、意外なほど具体的です。原作のある作品では、その原作と、演じる人物に関係する本を読む。それとは別に、森繁久彌や市川雷蔵といった先輩俳優について書かれた本から「生き方やたたずまい」を学ぶ——朝日新聞社の書評サイト「好書好日」のインタビューで、役所さんはそう話しています。 実在の人物に基づくルポ『身分帳』を原案とする映画『すばらしき世界』(2021)では第56回シカゴ国際映画祭のベストパフォーマンス賞を、『孤狼の血』(2018)では第42回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。日本を代表する名優の本への向き合い方と、演技の血肉となった原点作4冊をご紹介します。 ※好書好日(朝日新聞社)のインタビュー、および出演映画・ドラマの公式情報を元に構成しています。

演技の血肉となった原点作

主演映画・ドラマの原作4冊。表紙から詳細へ進めます。「読みたい」「本棚に追加」はメール登録なしでもすぐ使えます。

  1. 01

    佐木隆三

    いま読むなら

    ノンフィクションと小説の境界に立つ傑作。自由とは何か、人はどう生き直せるのかを静かに問いかける。

    殺人を犯し人生の大半を獄中で過ごした実在の男・三上の記録。佐木隆三によるルポルタージュで、映画『すばらしき世界』(2021)の原案となりました。役所さんは主人公・三上役を演じ、人間の純粋さと不器用さを生々しく体現。第56回シカゴ国際映画祭のベストパフォーマンス賞を受賞した名演の出発点にある一冊です。

  2. 02

    柚月裕子

    受賞・候補情報

    いま読むなら

    正義とは何か、信じられるのは誰か。ページをめくる手が止まらない、極上の警察小説。

    昭和の広島を舞台に、マル暴刑事とヤクザの血生臭い攻防を描いたハードボイルドの傑作。役所さんは型破りなベテラン刑事・大上章吾を演じ、正義と悪の境界で生きる男の凄みを体現しました。この演技により第42回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞しています。

  3. 03

    半藤一利

    いま読むなら

    終戦の一日を、多角的な視点で追う。歴史の転換点に立った人々の苦悩が鮮やかに蘇る。

    昭和20年8月15日、終戦の舞台裏24時間を綿密な取材と証言で再現した、昭和史ノンフィクションの決定版。原田眞人監督による2015年の映画版で、役所さんは陸軍大臣・阿南惟幾を演じました。国家の命運を背負う男の苦悩——玉音放送直前の決断と、死を選ぶ覚悟——が、原作の綿密な記述と重なります。

  4. 04

    池井戸潤

    いま読むなら

    「勝利を、信じろ」。伝統と情熱、仲間との絆で挑む逆転劇。働くすべての人に勇気をくれる一冊。

    倒産危機の老舗足袋メーカー「こはぜ屋」が、ランニングシューズ開発に挑む熱血企業ドラマの原作。TBS日曜劇場『陸王』で役所さんが四代目社長・宮沢紘一役を演じ、何度挫折しても立ち上がるリーダーの泥臭さを体現しました。池井戸潤が繰り返し描いてきた「働く人の誇り」が、もっとも素直な形で立ち上がる一冊です。

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役所広司の本への向き合い方

映画『銀河鉄道の父』公開時、朝日新聞社の書評サイト「好書好日」のインタビューで、役所さんは自身の読書について具体的に語っています。ここではその発言を出典として整理しました。

  • 01

    原作と、演じる人物にまつわる本を読む

    原作のある作品のオファーを受けたときは、その原作だけでなく、演じる人物に関係する本もあわせて読む——役作りの入口が「読むこと」にあると語っています。映画『すばらしき世界』(2021)の三上役も、佐木隆三のルポルタージュ『身分帳』を原案とする役どころでした。

    「例えば今作のように、原作があってそれを映画化しようというお話があると、その本や演じる人物に関係する本を読むことが多いですね」

    — 役所広司(好書好日/朝日新聞社「映画『銀河鉄道の父』主演・役所広司さんインタビュー」)
  • 02

    先輩のエッセイから「生き様」を学ぶ

    役作りのための資料読みとは別に、俳優の先輩たちについて書かれた本を読むことも続けています。森繁久彌、市川雷蔵、三船敏郎——先人がどういう人だったのかを本から知り、役者という仕事のありようを教わる。同じインタビューでは、小津安二郎など映画監督についての本も読むと語っています。

    「あとはいろいろな人のエッセイを読みます。森繁久彌さんや市川雷蔵さん、三船敏郎さんといった方たちはどういう人だったのかということが書かれている本を見て、先輩たちの生き方やたたずまいを学んだり「役者の仕事ってこういうものなんだ」と教えてもらったりしています」

    — 役所広司(好書好日/朝日新聞社「映画『銀河鉄道の父』主演・役所広司さんインタビュー」)

ほかの公式ページ

本編映像の転載はしていません。公式サイト・正規配信の予告へ進みます。

Today's question

今日の1問

よくある質問

役所広司さんは『すばらしき世界』で何賞を受賞しましたか?
2020年10月に発表された第56回シカゴ国際映画祭で、『すばらしき世界』の三上役によりベストパフォーマンス賞を受賞しています。主演男優賞と主演女優賞を統合した演技賞で、同映画祭の主演男優賞は2001年『赤い橋の下のぬるい水』で受賞済みです。原案は佐木隆三の『身分帳』です。
『孤狼の血』で役所広司さんが演じた役は?
マル暴のベテラン刑事・大上章吾です。松坂桃李さん演じる新人・日岡とのコンビで物語が進みます。この役により、第42回日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞しました。
この特集の本は本棚に保存できますか?
はい。各書籍カードの「読みたい」「本棚に追加」、または記事冒頭・末尾のまとめて保存ボタンから、メール登録なしのゲスト保存も可能です。
選書は本人の愛読書リストですか?
いいえ。読書観については好書好日(朝日新聞社)のインタビューでの発言をそのまま引用していますが、4冊の選書自体は出演作の原作をもとにした当サイトの編集です。役所さんが「この4冊が愛読書」と挙げたリストではありません。

出典

公式・出版社系の公開情報を参考にしています。詳細は各リンク先でご確認ください。

  • 好書好日(朝日新聞社) — 映画「銀河鉄道の父」主演・役所広司さんインタビュー(2023年5月5日)

    https://book.asahi.com/article/14889183

    本ページで引用した2つの発言(原作があるときは「その本や演じる人物に関係する本を読むことが多いですね」、および森繁久彌・市川雷蔵・三船敏郎らのエッセイから「先輩たちの生き方やたたずまいを学んだり」)の出典。小津安二郎など映画監督の本も読むという話も同じ記事にあります。

  • ORICON NEWS — 役所広司『シカゴ国際映画祭』で19年ぶり2度目の演技賞受賞(2020年10月24日)

    https://www.oricon.co.jp/news/2175150/full/

    『すばらしき世界』での受賞は第56回シカゴ国際映画祭のベストパフォーマンス賞(主演男優賞と主演女優賞を統合した演技賞)で、2020年10月の発表。同映画祭の主演男優賞は2001年『赤い橋の下のぬるい水』での受賞です。佐木隆三『身分帳』が原案であることもこの記事に記載。

  • 日本アカデミー賞協会 — 第42回日本アカデミー賞 受賞作品・受賞者

    https://www.japan-academy-prize.jp/prizes/?t=42

    『孤狼の血』の大上章吾役で第42回最優秀主演男優賞を受賞したこと。

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