作家の素顔

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瀬尾まいこ:『そして、バトンは渡された』の温かさは、中学教員時代の「愛情を注ぐあて」から

2019年本屋大賞を受賞した『そして、バトンは渡された』。血縁のない親たちにリレーのように育てられた女子高生・優子の物語は、悲惨さより温かさが先に来ることで知られます。その眼差しの背後には、中学校で国語を教えていた瀬尾まいこさん自身の教員経験があります。

瀬尾さんは国語の教師を志して国文科へ進み、講師を続けながら教員採用試験に挑み続けました。朝日新聞のインタビューでは、正規教員になるまで9年かかったと語り、プロフィール上は2004年に京都府の中学教師採用試験に合格し、2010年まで中学の国語教師を務めたと記されています。採用試験でアピール材料が欲しくて応募した『坊っちゃん文学賞』で『卵の緒』が大賞となり、作家デビュー——教員への道と執筆が、同じ時期に並行していました。

教員になって担任を持ったときの感覚を、瀬尾さんはこう振り返ります。生徒に愛情を注げばいいだけの毎日で、精神的にはすごくシンプルだった。「愛情を注ぐあてがある」というのは、明日が何倍にもなったようだった——その実感が、のちの家族小説の核になります。血のつながりは関係ない、と本人も明言しています。

小説丸の受賞インタビューでも、中学勤務時代に「生徒がすごいかわいくて」と言い、自分の子ができてからは「どっちも一緒」で、「血のつながりは関係ない」と感じたと語っています。優子の学校生活のささいな場面や教師像にも、現場の観察が生きている、と取材記事では紹介されます。

『そして、バトンは渡された』では、「困った。全然不幸ではないのだ」という一文が先に浮かび、複雑な境遇でも愛情に守られた子を描きたいという動機がありました。書き進めるうちに、注がれる側だけでなく「愛情を注ぐ側」の幸せにも寄り添うようになった——文春オンラインや朝日のインタビューでも繰り返し語られる制作の軸です。ステレオタイプな不幸譚に落とさず、善意と愛情をまっすぐ書くやわらかな眼差しは、教室で生徒や保護者の日常を見てきた時間があってこそ、と読むと輪郭がはっきりします。

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出典

公式・出版社系の公開情報を参考にしています。詳細は各リンク先でご確認ください。

  • 朝日新聞デジタルマガジン&[and] — 「愛情を注ぐあてがあることは、すごく幸せなこと」瀬尾まいこさん

    https://www.asahi.com/and/w/article/15791149

    教員採用までの年数、担任としての実感、「血の繋がりは関係ない」という本人談。正規教員は2004〜2010年。

  • 小説丸(P+D MAGAZINE/女性セブン) — 本屋大賞受賞インタビュー『そして、バトンは渡された』

    https://shosetsu-maru.com/recommended/book-review-485

    生徒への愛情と血縁の話、講師時代と坊っちゃん文学賞、学校場面への教員経験の反映。

  • 文春オンライン — 本屋大賞受賞インタビュー(愛情を注ぐ幸せ)

    https://bunshun.jp/articles/-/11429

    執筆中に「あ、こういう気持ちって、前から書きたかったものだったな」と気づいた経緯。「愛情を注ぐ相手がいるって本当に幸せだ」という本人談と、優子の芯の強さについての発言。

  • マガジンワールド/坊っちゃん文学賞 — 第7回大賞受賞・瀬尾まいこさんインタビュー

    https://magazineworld.jp/books/bocchan/bocchan-seo-maiko-interview/

    中学国語講師時代の執筆、採用試験との並行、正教員合格までの経緯。

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