Autumn Reading

秋の読書におすすめ10選

「読書の秋」で探すときに欲しいのは、毎年同じ名作表ではなく、いまの夜長に合う一冊です。本特集では2022年以降の本を中心に、2026年の秋に映画やドラマになる原作も混ぜました。時機を待つ『熟柿』、食卓の『カフネ』、10月公開の『汝、星のごとく』、別れを描く『ほどなく、お別れです』まで、余韻の質が違う10冊です。それぞれ、何の話で、なぜこの秋に置いたかを書誌の紹介に沿って添えています。

この特集の読み方

  • This autumn

    今年の秋に合う

    2022年以降の作品を中心に、2026年秋の公開・放送がある原作も置いています。

  • Long nights

    夜長の温度

    恋愛、家族、別れ、食卓。秋の夜に余韻が残るものを選んでいます。

  • Recent awards

    最近の受賞から

    2025〜2026年の本屋大賞で名前の出た作品を、季節の入口にしています。

選んだ本

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  1. 01

    佐藤正午

    受賞・候補情報

    佐藤正午『熟柿』。2025年3月の長編で、2026年本屋大賞第2位、中央公論文芸賞も受賞しています。雨の夜のひき逃げのあと、刑務所で産んだ息子と離れ、罪を隠したまま西へ流れながら十七年を生きる女性の半生です。題は、熟した柿が落ちるのを待つのと同じく、時機が来るのを気長に待つこと。急がず一夜で読み切りたい、長い秋の夜向けです。

  2. 02

    阿部暁子

    受賞・候補情報

    阿部暁子『カフネ』。2024年5月刊、2025年本屋大賞の大賞です。弟を亡くした野宮薫子が、弟の元恋人せつなが働く家事代行「カフネ」を手伝い、食事を通じて自分と、訪れる家庭の暮らしを整えていく物語です。講談社の紹介は「おいしいと泣くことから再生は始まる」。温かいものを食べたくなる夜に、食卓から人を思い出す本として置いています。

  3. 03

    凪良 ゆう

    受賞・候補情報

    凪良ゆう『汝、星のごとく』。2023年本屋大賞の大賞です。瀬戸内の島で育った暁海と櫂が、孤独を抱えたまま恋に落ち、十五年かけてすれ違い、ぶつかり、生きることの自由さと不自由さを選んでいく長編です。2026年10月9日に横浜流星さん・広瀬すずさん出演で映画公開されます。スクリーンの前に、文章のほうの十五年を置いておくための一冊です。

  4. 04

    一穂ミチ

    受賞・候補情報

    一穂ミチ『恋とか愛とかやさしさなら』。2024年11月刊、2025年本屋大賞第7位。直木賞受賞後の恋愛小説です。交際五年の相手からプロポーズされた翌日、その人が通勤中の盗撮で捕まり、信じることも許すことも一変します。小学館の紹介どおり、問いの中心は「信じるとは、許すとは、愛するとは」です。ほっこりする恋の話ではなく、夜にひとりでその意味を考え直す本として置いています。

  5. 05

    青山美智子

    受賞・候補情報

    青山美智子『人魚が逃げた』。2024年11月刊、2025年本屋大賞第5位。三月のある週末、銀座で「王子」を名乗る青年が「僕の人魚が逃げた」と話し、その騒動の裏で五人の男女がそれぞれの節目に立っている連作です。アンデルセンの『人魚姫』を下敷きに、物語と人生の曲がり角が静かに重なります。季節の変わり目に、短い章から入れる一冊です。

  6. 06

    早見和真

    受賞・候補情報

    早見和真『アルプス席の母』。2024年3月刊、2025年本屋大賞第2位で、第15回山田風太郎賞の候補にもなりました。看護師のシングルマザー秋山菜々子が、甲子園を目指す息子とともに大阪の新興校へ移り、父母会の掟や痩せていく息子に揺れながら過ごす長編です。グラウンドの球児ではなく、アルプス席で支える側の三年です。夏の大会が終わったあとに、親の夜を読む本として置いています。

  7. 07

    燃え殻

    燃え殻『この味もまたいつか恋しくなる』。2025年5月刊の短編集です。シーフードドリア、ピザトースト、ジャンボモナカ。ある料理を口にすると、その日その人が戻ってくる、という話が並びます。秋は食卓が長くなる季節で、味をきっかけに人を思い出す温度がこの棚に合います。2026年秋にはドラマにもなります。

  8. 08

    額賀澪

    額賀澪『沖晴くんの涙を殺して』。文庫は2023年です。北の大津波のあと、喜び以外の感情をなくした高校生・沖晴が、余命一年の音楽教師・京香と出会い、泣くことも怒ることも含めて心を取り戻していく青春小説です。海と階段の街で、歌声とピアノが重なります。2026年10月2日に映画公開されるので、この秋は原作のほうから読めます。

  9. 09

    長月 天音

    長月天音『ほどなく、お別れです』。2022年刊のデビュー作です。夫を看取った著者が、葬儀場「坂東会館」でアルバイトする大学生・清水美空と、遺族の思いを死者へつなごうとする葬祭ディレクターを描いています。悲しいまま終わる話ではなく、別れの儀式を通じて一歩先へ進む温度です。秋の物寂しさに近く、2026年には映画にもなります。

  10. 10

    高瀬 隼子

    高瀬隼子『うるさいこの音の全部』。2023年10月刊。芥川賞受賞後の作家が、題材にしたのは「作家デビュー」です。ゲームセンターで働く長井朝陽が、ペンネームで出した小説の受賞をきっかけに、兼業が職場に知られ、周囲の態度と、執筆中の小説と現実の境界が軋みはじめます。表題作と、受賞後を描く「明日、ここは静か」の二篇です。静かな室内で読む秋から冬に向いていて、2026年冬に映画化されます。

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Today's question

今日の1問

よくある質問

秋の読書に向いている小説の選び方は?
この特集では、夏のホラーより余韻とあたたかさのある近年作を優先しています。公開が近い映画の原作を先に読むのも、秋の読み方のひとつです。
古典や昔の名作はどこで探せますか?
このページは今年の秋に手に取る本へ寄せています。詩人や古典の定番を探すときは、作家ガイドや受賞作の殿堂をあわせて見てください。
読書の秋はいつから始まりますか?
9月中旬から11月にかけてが、一般的に「読書の秋」として意識される時期です。夜が長くなり始める頃に一冊選ぶと続きやすいです。

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