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住野よる:『君の膵臓をたべたい』は「題名が先」——なろう投稿前の逆算から生まれた

猟奇じみた響きのタイトルに、余命と青春の切ない交流が待ち受ける『君の膵臓をたべたい』。ギャップが口コミを生んだヒット作の出発点は、住野よるさん自身が語る「題名が最初」という作り方にあります。

作家の読書道で住野さんは、はっきりこう述べています。「題名が最初にあったんです」。当時狙っていた電撃小説大賞では、一次選考通過作の題名だけがネットに載る——その一覧で「なんだこれ」と騒がれ、たとえ受賞しなくても編集者の目に留まるかもしれない、と考えたといいます。強烈なタイトルを先に置き、「この言葉で人を感動させられないかな」と物語を組み立てていった、というのが本人の制作談です。

映画化関連のインタビューでも同趣旨が繰り返されます。タイトルだけが先にあり、インパクトある題名で手に取った人を感動させられたら面白い、という狙い。あるいは「気持ち悪いタイトルをつけたい」と決め、「怖い話ではなく、このタイトルで誰かを感動させられないか」と考えて主人公やストーリーを育てた、と語る場面もあります。ホラー的な語感と、純愛に近い心の交流——そのギャップは、偶然ではなく設計の一部でした。

一方、投稿ルートもドラマチックです。他の応募作は一次落ちが続き、『君の膵臓をたべたい』はどうしても誰かに読んでほしくて、当時ほとんど知らなかった「小説家になろう」にアップした、と本人。長篇なのに短篇枠で出して栞も挟めない読みにくい投稿だったにもかかわらず読まれ、すでにデビューしていた作家経由で双葉社の編集者へ伝わり、書籍化につながりました。新人賞には出せないまま「小説家になろう」に置かれた原稿が、Web上の発見から異例のベストセラーになった経緯です。

タイトルの異様さと中身の切なさの落差は、読後に「実は泣ける話だった」と誰かに話したくなる構造を自然に生みました。SNS時代の口コミと相性がよかったのも事実ですが、核にあるのは、題名から逆算して感動を設計したという、住野さん自身の証言です。知ってから読み返すと、冒頭の違和感すら作者の計算として見えてきます。

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